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with コロナの新学期

コロナ後2度目の夏が終わりに近づき新学期が始まろうとしています。データの集積やワクチン普及に伴いコロナへの過剰な不安は軽減すると共に、もはやコロナの封じ込めへの期待もなくなりました。そして、with コロナで何を優先しながら現実的な打開策を講じていくかということに多くの人たちが注目するようになってきたように思われます。

 

我が子たちを取り巻く環境を思い起こせば、1年半前に学校閉鎖に伴い急遽リモートラーニングになり、長いハイブリッド(リモートと登校の組み合わせ)の期間を経て、この春にようやく通常登校が可能になったところでした。次々に訪れる課題にあの手この手で対応してきた学校関係者の柔軟性と決断力にはいつも頭が上がりません。システムが整わなくても、前例が無くても、目の前にいる助けが必要な子をサポートするために業務外の個別の努力をしてこられた先生方にも敬意を払います。それでも、孤立しやすい環境の中で、問題を表面化させたりアピールすることさえできない子供達や保護者達もたくさんいたと思われます。私としては、子供達が登校して社会と関わりながら学ぶ大切さを強く再認識した1年半でもありました。「前例通り」では対応できない問題が山積した現在、子どもの学びに何を優先すべきかを再考し現実的な計画を立て直す必要が迫られていると感じていました。学校にとっても、夏休みはリフレッシュ期間です。アメリカでは新年度の学校計画とルールがこの期間に審議されて発表されます。私は、この度の学校計画がどのようなものになるか、個人的にとても注目していました。

 

学校計画は、コロナ後の過去18ヶ月の経験とデータ、保護者および子ども対象の複数回のアンケートをもとに、教育委員、教師、医療関係者、保護者から成るチームが夏休み期間中に継続的に審議を重ねて発表されました。具体的には、8月末に、学区の教育委員会および各学校が複数回のフォーラムを開催して発表します。全てオンラインでの開催で、数ヶ国語の同時通訳や手話通訳も可能です。実際にフォーラムに参加してみると、教育委員長が、何度も「子供達のSELを最優先に考える」と強調していました。SELとは、Social Emotional Learningの略で、社会性を身につける学びという意味です。協調性、自己理解、責任感、共感、感情制御など、人との関わりの中で学ぶ力を今一度最重要視するとの宣言がありました。それを踏まえて原則的にリモートラーニングは廃止されました。フォーラムで得た具体的な計画のうち主な内容を参考までに共有します。

 

・原則リモートラーニングの廃止

医療事情で登校できない子や隔離中の子に限りリモートラーニングを提供する。

全員マスク着用

身体、精神上着用できない人への特別配慮あり。

学校関係者へのワクチン義務化

ワクチンを打てない人はその旨の医師の診断書の提出が必要で、週に一度のコロナ陰性証明の提出が必要。

・前向きに整列した机の配列を廃止

グループで学ぶスタイルに戻す。教室内にラグやソファなどのリラックススペースも配置。

・屋外で他のクラスと一緒に遊ぶことを許可

厳密なコホート化を緩め、自然な人間関係の育成を促す。

・スナックやランチはできるだけ外で。室内では6フィートの間隔を置く。

・プールテスト

引き続き、週に一度、クラス毎に複数検体を1つのバイアルに入れてPCR検査を施行(親の同意が必要)。陽性が出たクラスはさらに個別検査を追加。

・風邪症状への対応

風邪症状がある生徒は学校に報告の上自宅隔離。COVID陰性証明を得て症状改善後に登校。

・コロナ陽性者への対応

陽性者は10日間の自宅隔離。症状改善を確認後登校(陰性証明不要)。プールテストには90日間参加できない。

・濃厚接触者への対応

学校内で濃厚接触者と判断された生徒には保護者に直接連絡が行く。無症状である限り毎朝保健室で迅速検査を受け陰性を確認の上登校継続。学外で濃厚接触となった人は7日間の自宅隔離と5日目以降に採取したCOVID陰性証明を経て登校。隔離中はリモートラーニングの特別配慮あり。

・ワクチンクリニック

巡回クリニックが学校に設置されCOVIDワクチンの接種が可能。

 

去年の反省点やアップデートされた科学的知見を取り入れた内容になっていると感じました。子供達が学校で繰り返し学んでいるSMART(Specific, Measurable, Achievable, Realistic, Timely)のゴールセッティングの手法がオンライン化された学校システムの中で風通しよく生かされていると感じました。

 

我が子たちは、リモートラーニングの廃止とグループラーニングの再開、クラス外の子達ともと遊べることをとても喜んでいます。