我が家の絵本と児童書事情
多くの引っ越しを経験してきましたが、住む場所を決めるときに私が必ずチェックすることの一つが図書館へのアクセスです。子供を寝かしつける前の読み聞かせの時間と、次にどの本を借りるか考える時間は私には欠かせない時間で、まさに私の趣味の時間です。これはおそらく私の母から引き継いだ趣味で、私自身も絵本や本の世界と現実を行き来しながら育ちましたし、我が子達も本好きに育っています。ちなみに、我が家に蔵書はほとんどなく、図書館に通うことが生活の一部になっています。
そんな私の趣味の世界でもある、我が家の児童書や絵本を取り巻く環境(@アメリカ)を少し紹介します。
残念ながら現在図書館は閉鎖されていますが、オンラインで本をリクエストして窓口で受け取ることはできます。公共図書館は近隣の市町村の図書館と連携していて、他の図書館の蔵書も含めて貸し出してくれるので読みたい本を検索するとほとんどヒットします。とはいえ、本を手に取りながら選ぶ楽しみが早く戻ってほしいものです。コロナによる閉鎖期間にできた取り組みとして、利用者が過去に読んで面白かった本や年齢、好きなジャンルなどを入力すると司書さんがお勧めの本を15冊、DVDを5本揃えて貸し出してくれるという面白いシステムもあり、私も時々利用します。図書館のアカウントを使ってE-bookやオーディオブック、オンラインの映画もレンタルできます。
アメリカに来てすぐの頃は、日本で読んだことのある訳本の原書を読むことが楽しみでしたが、すぐに色々と読みたくなり、まずはCaldecott Honorなど、American library associationのおすすめの本などを手当たり次第読んでいました。今は、子供達の学校や教育関連のホームページで紹介される本や友達から勧められた本、好きな作家の別の作品など、色んなところにアンテナを張って新しい本との出会いを楽しんでいます。
それぞれの子供たちにもいつも「今夢中になっている本」があります。娘はようやく自分の読みたいレベルの本が英語で読めるようになり、今はGrace Linのアジアの世界観あふれる小説やWonderのシリーズを読んでいます。どれもマイノリティがマジョリティにどう入り込むか、アイデンティティを模索するような内容の話で、もしかしたら今の彼女の立場に近いのかなと思います。Wonderのシリーズは一つの出来事を色んな子供達の視点から書かれていて面白いです。娘はその中に少しだけ出てくるおばあちゃんのホロコーストの記憶の話がひっかかり、私に尋ねてきました。さあきた、どんなふうに導入しようかと、そのジャンルの絵本や児童書を探すのも私の趣味の範疇です。子どもに伝えにくいこと、話すのにエネルギーのいることを本や絵本を媒介して共有できることは本当に助かりますし私も言葉選びの勉強になります。私は本を共有した後すぐに子供に感想や意見を求めることは控えるようにしています。言葉にならない、もやっとした大きな世界観をそのまま残してほしいからです。アートは言葉で表せないものが多いですから。長男は図鑑やノンフィクションの動物の話や伝記、絵が綺麗な本をマニアックに読むのが好きです。次男はまだ自分では読みませんが、読んでもらうのは好きです。次男が繰り返し読みたがるNerdy Birdyという本は、主人公のオタクの鳥が、カッコいい鳥から疎外されていたところ、オタク集団の仲間に入れてもらえて一度は安心するけれど、さらに“違う“新しい鳥をオタク集団が疎外しているのを見て主人公が疑問を感じるという、コミカルな中に深い意味のある本で、次男が内容を理解しているのかはわかりませんが「なんか好き」と言います。末っ子はSpotという犬が出てくる仕掛け絵本シリーズが大好きで、私がページをめくるタイミングを間違えると最初から読み直しになってしまいます(2歳児ですから)。本の話を始めると止まらないのでこの辺りで控えますが最後に一つ・・私が今好きな本はDavid Wiesnerの字のない絵本たちです。